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「朝早く起きて満員の電車に揺られて…これがどうも自分の中に相容れなくて。だから学校を出ても就職をしなかったんです。学生アルバイトをそのまま延長していました。その時点で『自分で商売するしかない』というわけですよ」
彼の会社は損害保険・生命保険の代理業務が中心である。この仕事に出合ったのは24歳のときで、アルバイト先での紹介がきっかけだった。
社名の「トータルリスクマネジメント」は、最近よく耳にする。法人に対して使われることが多いが、個人についても彼にいわせれば「基本的に同じ」だそうだ。しかし単なる保険代理店ではない。保険を通して社名にもあるリスクマネジメントをおこなう。
「危険は大きく“予期せぬ出来事”と“予期できうる出来事”の2つがあります。これらを包括してリスクと呼びますが、そのリスクが発生した場合、対処法として約半分は保険で何らかの回避が可能だと考えています」。
では、残りはどうなるのか。「たとえば弁護士さんであったり、会計士さんであったり、税理士さんであったりが、対処してくれるわけです。ウチではそのバックアップ体制が整っています。保険はあくまでもリスクヘッジですから、予期できうる出来事の範囲でしか応えられませんが、社会の変化によってその中身がどんどん変わります。当然お客さまが気の付かない点も出てくるでしょう。それをこちら側からご提案していきます。つまり新しいリスクの情報提供です」。彼の会社では必要に応じて弁護士などを紹介することがあるとか。あくまでもサブ的なサポートとしてだが…。かつて保険は単品の商品を売っていた業界だったといえるだろう。しかし今は違う。顧客の想像を超えるリスクが増え、トータルでの視点が必要だ。
法人の場合、個人以上に社会の変化に影響を受けやすい。最近では顧客情報の漏洩が問題になっているが、これに対しても新商品がすでに用意されているという。個人におけるガン保険にしても、健康保険や医療保険では対象外だった高度治療が受けられる商品もある。しかも医療機関の紹介もしてくれる。
「我々の仕事はリスクを一つひとつ回避していくこと。個人の場合だと、将来の経済的リスク、健康に関してのリスク、事故等に関してのリスク…法人は先ほども申し上げたように様々な性格をもつリスクがあります。いずれにしてもそれらを回避する手立てができると、気持ちの余裕が生まれます。生活の安定・企業経営の安定は最も必要なことです」
顧客に対して、彼の会社は保険に関するデータをすべてチェックし、整理をおこないファイル化する。すでに加入している保険類を部分的に見ても仕方がない、問題は様々なリスクに対応できているか、ムダな保険にお金を費やしていないか――トータルな現状を把握しなければ適切なアドバイスもできないというわけだ。法人の顧客だとかなり分厚いファイルになる。それを2冊作成し、顧客に1冊渡す。ここから彼の本来の仕事が始まる。
「整理するのに法人で最低3ヵ月くらいはかかるでしょうね。事務の女の子たちが頑張ってやってくれるんですよ。ウチの会社は彼女たちに支えられているといっても過言じゃありません。胸の奥にある感謝の気持ちをちゃんと伝えないととは思うんですが、なかなか上手く表現できませんね」と、陽に焼けた顔がくずれる。家族とは時々一緒にするというテニス焼けなのか、それともゴルフか…。 |
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